高野山での深い余韻に浸りながら、私はひとつ「宿題」を抱えていた。 私の旅にはルールがある。訪れた都道府県ごとに、「その土地を表現し、かつ自分が心から気に入ったデザイン」のマグネットを1つだけ買うことだ。
高野山で探したが、出会ったのはキャラクターの「こうやくん」や、ありふれた提灯のデザイン。 「妥協して買わない」のもマナー。和歌山のマグネット探しは、次の目的地へと持ち越しになった。


1時間半、車影なし。孤独と絶景の「龍神スカイライン」
高野山から白浜へと向かう道中、私は忘れられない経験をした。 選んだのは、山々を繋ぐ稜線を走るルート。
走り始めこそ2車線で快適だったが、驚くほど他の車がいないのだ。 ふと気づけば、1時間半もの間、対向車すら一台も見かけなかった。
スマホの電波は弱く、コンビニはおろか住居すら見当たらない。 「もし今、ここでトラブルが起きたら……」 そんな不安が脳裏をよぎり、自然とハンドルを握る手に力が入る。
標識に「龍神温泉 40km」の文字。 最初は4kmと見間違えていたが、桁が違った。あと40kmも「何もない」場所を走り続けるのか。けれど、視界に広がる山々の稜線は、言葉を失うほどに美しい。
孤独と隣り合わせの絶景。3時間の移動も、その非日常感に飲み込まれているうちにあっという間に過ぎ去っていった。
港町の癒やしと、ポータブル電源が支える「宿」

白浜に辿り着き、まずは「とれとれの湯」で山道の疲れを洗い流す。 夕食は、海の街にふさわしい刺身定食。一切れごとに感じる身の引き締まりと鮮度は、やはり港町ならではの贅沢だ。
今夜の宿は、もちろん「マイカー」。 お世話になるのは「道の駅 くちくまの」だ。
車中泊グッズは一通り揃えているが、やはりポータブル電源の存在は大きい。これ一台あるだけで、車内は一気に快適なプライベート空間へと変わる。夜風を感じながら、静かに眠りについた。
6つの候補からポータブル電源をどう選ぶ? 車中泊で大活躍する間違いない選び方
大自然の彫刻:千畳敷と三段壁


翌朝。TikTokで見かけてチェックしていた「千畳敷(せんじょうじき)」と「三段壁(さんだんべき)」を訪れた。
目の前に広がるのは、長い年月をかけて荒波が削り出した芸術的な地形。 幾重にも重なる岩の畳、切り立った断崖。大自然という彫刻家が作った圧倒的なスケールに、ただただ立ち尽くす。
辺りには食欲をそそる「浜焼き」の香りが漂っていたが、ここはぐっと我慢。 まだ見ぬ絶景と、そして「運命のマグネット」を探して。 私は再び、愛車のエンジンをかけた。


